温泉情報 / 四万温泉 中生館

四万温泉 中生館
群馬の秘湯「四万温泉」は、永延3年(989)頃、源頼光四天王の1人として勇名を轟かせていた日向守碓氷貞光が、神のお告げによって見つけたという伝説がある。その温泉は、四万(あらゆる)の病に効くといわれ四万温泉と名付けられたらしい。
名湯として名高い草津温泉の近くで、その草津の盛名に隠れたような小さな山間で湯煙を上げている。いわゆる「草津の上がり湯」と評される温泉地である。
「中生館」は、その四万温泉の最奥にある。温泉宿に至る道は狭く、車一台がやっと通れるぐらい。それも一方通行ではないので、行き会う車があればどちらか一方が待つことになる。
宿のそばには、重要文化財指定の日向見薬師堂があり、中には温泉での病気治療を祈願する薬師如来が鎮座している。その薬師堂の道を挟んで反対側には、一般に無料開放している共同温泉の「御夢想の湯」と足湯がある。
宿の創業は昭和16年ごろというから、四万温泉では、新しい方になるだろう。先代の主人が河原から石を拾ってきて湯船を作ったという逸話が残っている。中に入ってみると昔の湯治宿をちょっと新しくしたような、そんな素朴な雰囲気だった。
湯船は、もちろん石造り。河原の石かどうかはさておいて、なかなか秘湯感のあるもの。源泉は岩から染み出し掛け流されており、その湯口にコップが置かれている。窓の外は、人工物の一切ない森が広がって春夏秋冬、それぞれの山の景色が温泉に浸かりながら眺められる。欲をいえば、もう少し広ければ開放感が得られると思うのだが、それも湯と建物との関係。素朴な温泉宿には、反対にこのぐらいで十分なのかもしれない。季節によってその湯量は変化するというから、まさに源泉は自然のものということを実感。湯は、透明無色。これといって特色があるわけではない。
ずっぷり浸かると、初冬の外気で温泉に入った初めは熱く感じたが、浸かってしまえばなかなかの適温。温泉は、さらりとしてぬめり感などはない素直な源泉だ。湯口のコップで源泉を一口。さすがに、飲泉をするとただの温水ではないと舌に感じられるが、さりとて強烈に印象に残る味もなし。つまり、飲みやすい源泉である。泉質はナトリュウム・カルシウム硫酸塩泉。飲泉すると糖尿病や高血圧などにいい温泉である。ナトリウムが多いのだが、塩の味もほとんどない。
派手なものは一切ない湯治の宿。静かに静養したい人にはお勧めである。